安西淳君が急性大動脈解離発症後の血管炎症のしくみを解明した論文を発表

急性大動脈解離発症後の血管炎症のしくみを解明

–解離の進展と拡大、破裂を予防する新たな治療法に期待–

 

慶應義塾大学医学部内科学(循環器)研究グループの安西淳助教、佐野元昭准教授は、同病理学教室(下田将之専任講師、岡田保典教授)との共同研究により、大動脈解離モデルマウス(注1)を用いて、急性大動脈解離発症後に生じる血管炎症の発症メカニズムを明らかにし、解離の進展と拡大、破裂(注2)を予防し得る新たな治療法を発見しました。

急性大動脈解離とは、大動脈の内側に亀裂が入り、その裂け目から血液が大動脈の壁を裂いて壁内に流れ込む病気で、急性心筋梗塞とならんで、すぐに対処が必要な循環器の救急疾患です。特に、上行大動脈に解離が及ぶ急性A型大動脈解離(注3)は極めて予後不良な疾患で、症状の発症から1時間あたり1~ 2%の致死率があると報告されています。今回、本研究グループは、大動脈解離モデルマウスを用いて、大動脈解離発症後の血管炎症のしくみを経時的に解析することで、大動脈解離発症後、血管壁の外膜側に浸潤してきた好中球(注4)が産生するIL-6(インターロイキン(Interleukin)-6)を介して大動脈解離発症後に血管壁の構造をさらに傷害し、解離の進展と拡大、破裂を引き起こしていることを発見しました。この成果をもとに、好中球表面のCXCR2受容体(注5)を介するシグナルをブロックして骨髄からの好中球動員を抑制するか、IL-6のシグナルをブロックすることによって、大動脈解離発症後の生存率を改善できることを明らかにしました。

今回の研究結果を応用し、大動脈解離発症後急性期に、CRP(C-reactive protein, C反応性蛋白)(注6)高値など血管炎症の強い患者に対して、血管の炎症を軽減させ、慢性期の大動脈径の拡大に伴う破裂を含めた大動脈関連事象を予防する効果が期待され、治療の選択肢が拡がる可能性が考えられます。

本研究成果は、2015年1月6日(米国東部時間)に米国心臓病学会雑誌Circulation Researchオンライン版に公開されました。

 

Circulation Research.

http://circres.ahajournals.org/content/early/2015/01/06/CIRCRESAHA.116.304918.full.pdf+html

 

慶應義塾大学プレスリリース

http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2014/osa3qr000000i7mv.html

 

ページの先頭へ