お知らせ
高先生、安西先生が社会的孤独による動脈硬化促進の新たな分子機序に関する研究論文を『Circulation Research』に発表
受賞論文・演題名
Social Bonds Retain Oxytocin-Mediated Brain−Liver Axis to Retard Atherosclerosis
著者名
Seien Ko, Atsushi Anzai, Xueyuan Liu, Kenichiro Kinouchi, Kazuhiro Yamanoi, Takuto Torimitsu, Genki Ichihara, Hiroki Kitakata, Kohsuke Shirakawa, Yoshinori Katsumata, Jin Endo, Kaori Hayashi, Masahide Yoshida, Katsuhiko Nishimori, Kenji F. Tanaka, Tatsushi Onaka, Motoaki Sano, Masaki Ieda.
掲載雑誌情報
Circulation Research, Nov. 27, 2024. DOI: 10.1161/CIRCRESAHA.124.324638.
詳細
社会的孤独はヒトにおいて虚血性心血管疾患のリスクとなることが報告されていましたが、その詳細な機序は明らかになっておりませんでした。我々は動物モデルを用いて臓器横断的に検証し、これまで推定されていた食事摂取量の増加、交感神経系、視床下部-下垂体-副腎皮質系および炎症の賦活化とは無関係に、社会的孤独ストレスが動脈硬化を進行させることを見出しました。またその機序として、脳視床下部で産生されるオキシトシンによる肝細胞を介した脂質代謝制御機構が破綻することが原因であることも明らかにしました。さらに、オキシトシンを経口補充することで、社会的孤独ストレスによる脂質代謝異常と動脈硬化進展が抑制されることを確認しました。本研究は、幸福ホルモンとして知られるオキシトシンが孤独による動脈硬化進展に対する新規治療標的分子として有望であることを示すとともに、社会的つながりの豊かさがヒトの健康維持につながる機序の一つを解明したと考えられます。本研究は2024年11月27日に国際科学雑誌『Circulation Research』に発表されました。

