担当医師:高月 誠司
担当医師:高月 誠司

不整脈・心房細動の治療はこの10年で大きく変わりました。患者様に最新の医療を提供するため、不整脈専門チームが外来を行っております。

担当医師

  • 月曜日午前午後25番外来:高月 誠司
  • 火曜日午後26番外来:木村 雄弘
  • 水曜日午前24番外来:相澤 義泰
  • 水曜日午後24番外来:谷本 陽子
  • 金曜日午前26番外来:西山 信大

心房細動とは?

心房細動は不整脈の一種です。心房筋の老化現象の一つと考えられています。直接は命に関わる不整脈ではありませんが、動悸、心不全、脳梗塞の予防が必要な病気です。

心臓の正常のリズム

心臓には、左心室・右心室・左心房・右心房の4つの部屋があります。それぞれの部屋は筋肉で出来ていて、電気の信号を使って規則正しく収縮しています。

正常の心臓でのリズムの出来かた
正常の心臓でのリズムの出来かた

正常では、右心房の上側(上大静脈の付け根)に洞結節と呼ばれる器官が存在し、その部分で一分間に60-70回といった規則正しい心拍のリズムを作っています。心室と心房は完全に電気的に遮断されていて、唯一、房室結節と呼ばれる一本の細い幹線道路のような部分でつながっています。洞結節で作られたリズムは、一旦、心房を収縮させた後に、房室結節を介して心室に伝わり、心室が収縮するという仕組みが有ります。

心房細動のリズム

一方このような洞結節のリズムとは全く無関係に、一分間に400回から600回の頻度で、心房が痙攣する事が有ります。これを心房細動といいます。

心房細動時のリズム
心房細動時のリズム

心房細動の時には、あまりにも電気信号が早すぎて、心房筋はほとんど収縮しません。また心房と心室の交通である房室結節で、適度に電気信号が間引かれ、一分間に70回から150回程の電気信号が心室に伝わる様になります。この際、全く無秩序(ランダム)に電気信号が間引かれるため、心室の収縮のタイミングも無秩序となり、脈を取ると不整(バラバラ)となります。

動悸

心房細動で脈がバラバラなことで、日常生活もままならなくなる程、動悸がする場合もあれば、全く自覚症状が無い場合もあります。まず薬剤で治療するのが一般的ですが、いろいろな薬剤を試してみても改善のない場合、副作用のために薬剤を中止しなくてはならないような場合もあります。

心不全の予防

心臓は全身に血液を送るポンプです。心房細動で脈が速くなりすぎると、ポンプとしての働きが悪くなり、ポンプ失調(心不全)になることがあります。脈が速くなりすぎないようにコントロールする必要があります。

脳梗塞の危険性

イメージ画像
イメージ画像

心房細動の治療で最も重大な問題は、心房細動が脳梗塞を引き起こす原因となる事です。心房細動は直接は命には関わりませんが、それによって引き起こされる脳梗塞はしばしば致命的となるからです。血液は動いている間は固まりませんが、心房細動で痙攣し、心房内の血液の流れが滞ると、血液の塊が出来やすくなります。このような血液塊を血栓と呼びます。心房細動が48時間以上持続したり、高血圧・糖尿病・高齢者では血栓が出来やすくなる事が知られています。左心房内で出来た血栓は、心房の壁から離れて、血液の流れにのって全身にばらまかれる事が有ります。特に脳へ行く血管に流れ込んでしまった場合は重篤で、脳の血管に詰まり、脳梗塞を引き起こします。そのため血栓症のリスクの高い心房細動患者様では、血液をさらさらにするための治療薬が必要となります。

カテーテルアブレーションとは

カテーテルの先端についた電気メス(高周波通電装置)を使用して、半径5mm程度の心臓の筋肉に熱を加えて電気を通さなくすることで、不整脈を根治する方法です。

心房細動のカテーテルアブレーション

肺静脈と左心房を電気的に切断することで、心房細動自体も停止する事が最近の研究で解ってきました。心房細動のカテーテルアブレーション法は、施設毎で改良されています。我々の施設では、この左肺静脈2本、右肺静脈2本をまとめて取り囲む様にアブレーションを行い、心房との交通をなくすという治療法を行っています。アブレーションを受けられるかどうかについては、不整脈専門外来の医師(外来担当医リンク)に御相談ください。

治療の前に行う検査

我々の施設では治療を安全にまた有効に行うため、手術の前にいくつかの検査と、内服薬の治療をお願いしています。

心臓CT検査

心臓CT(背面からの像)
心臓CT(背面からの像)

心臓CTを行い、肺静脈の構造を手術前に確認致します。我々の施設のCTはカメラを多列に配置し高速度で撮影出来るため、心臓の構造が明瞭に観察出来ます。左心房に対して大きな4本の肺静脈がつながっており、この4本の血管と左心房のつなぎ目を狙ってカテーテルアブレーションを行います。

経食道心臓エコー検査

一般的な心臓エコー検査は、胸の前から記録します。しかし、心臓の心房側の構造を詳細に観察するためには、心臓の背中側からの観察が必須になります。食道は左心房の裏側を走行するため、超音波素子を内視鏡様のチューブに組み込んだ経食道心臓エコーを記録します。内視鏡と同じ様に、口から食道へ直径約7mm程度のチューブを入れます。主に左心房内に存在しているかもしれない、血栓や、アブレーションの邪魔になる異常な構造物が無いか、手術前に確認致します。

胸部レントゲン写真・採血等

基礎疾患や先天的な異常が無いかどうかを、採血や胸部レントゲン写真にて確認致します。

抗凝固療法

左心房内に血栓が存在していると、左心房内でのカテーテル操作によって、血栓が血液に乗って全身にばらまかれる可能性が有ります。そのため治療の前約1ヶ月弱の期間、ワーファリン、イグザレルト、エリキュースといった抗凝固薬を内服いただきます。薬剤の効果を採血にて確認しながら、血液をさらさらにした状態を治療前1ヶ月弱、治療後も1ヶ月間続けます。

入院は治療の前日から

入院後、抗不整脈薬などの内服薬を中止し、ワーファリンを内服されている場合は代わりになる点滴の抗凝固剤を投与します。手術の前に、ご本人様とご家族の方、あるいは血縁の方どなたかとご一緒に、手術について合併症を含めて主治医からご説明させていただきます。

手術当日

手術時間は患者様ごとに異なりますが、通常3時間から5時間程度とお考えください。手術中、点滴による麻酔注射を行います。雑菌等がカテーテルを介して、血液の中に混じり込まない様に清潔な布をかぶった状態となります。カテーテルを左右の股の付け根、右の首からカテーテルを挿入します。右心房から左心房に向けて、心房の真ん中の壁を通り抜け、左心房内で電位を確認しながらカテーテルアブレーションを行います。

手術後

合併症がなければ、2-3日で退院となります。

治療成績について

心房細動は長く続けば続くほどなおりにくい不整脈です。そのため、発作の頻度が短い場合は8-9割程度、持続が長い場合は6割程度と治療成績は病状によって変わります。治療当日はほぼ全例、肺静脈と左房を遮断できますが、電気的交通が再開してしまいます。抗不整脈薬の内服をお願いしたり、2回目のカテーテルアブレーションを行うことがあります。

どのような場合カテーテルアブレーションを受けられますか?

一般的には

  1. 症状が強い
  2. 薬でとまらない
  3. 経食道心エコーで問題がない
  4. 75歳未満

の方におすすめしていますが、一概には決められません。不整脈専門外来を受診し気軽に相談してください。

我々の施設では平日常時カテーテルアブレーションを行っています。不整脈の回路をコンピューター上で3次元表示するCARTO systemと呼ばれる装置など多くの最新式の治療器具をそろえており、訓練された不整脈専門医、研修医、医療機器専門技師、看護師で検査とともに、やさしくクオリティーの高いアブレーションをモットーに行っています。

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