慶應義塾大学医学部循環器内科教授:福田 恵一
慶應義塾大学医学部循環器内科教授:福田 恵一

 

新緑の候、皆様におかれましては益々ご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。

慶心会の皆様へ恒例の循環器内科教室便りをお送り申し上げます。

 

1. 日本循環器学会において多数の演題発表

本年4月に大阪で開催されました第79回日本循環器学会ではシンポジウム8、プレナリーセッション1,レイトブレーキングセッション1,Featured research session1,ミートザエキスパート1を含む40演題以上のセッションで教室員の先生方の発表がありました。演題数の多さもさることながら、非常に多くの先生方から高いレベルの研究の発表がなされ、学外からも高い評価が送られました。これらの研究を実践し直接頑張った先生方、若い先生を指導し学会発表にまでこぎ着けてくれた指導者の先生方に改めて感謝申し上げます。

 

2. 日本循環器学会において片岡君、白川君、大野君が各賞受賞

本年度の日本循環器学会において、各種の賞が受賞されましたが、慶應大学循環器内科では以下の賞を授賞しました。白川公亮君が日本循環器学会YIA優秀賞を受賞しました。白川君の研究は、過食や肥満は生物学的老化を加速させるため、免疫老化も加速させると予想し、食事性肥満に関連した内臓脂肪の炎症、インスリン抵抗性におけるT細胞の免疫老化の役割を検討したしました。高脂肪食を負荷した肥満マウスでは、内臓脂肪、肝臓、脾臓において免疫老化が進行していることを発見しました。これまでも、免疫系細胞が代謝性疾患の治療標的になりうることは報告されてきましたが、Senescence-Associated Secretory Phenotype(SASP)を有する老化T細胞を介入の標的と想定した研究は行われておらず、非常に新規性の高い仕事と評価されました。

片岡雅晴君が臨床研究奨励賞臨床研究部門を授賞しました。本賞は主体的に行った循環器病分野における一連の10年以内の臨床研究論文複数本に基づいて選考される賞であり、循環器病学臨床研究領域での国内最高賞と位置付けられる賞であります。全国の大学・医療機関の多数の応募者の中から最終受賞者として同君が選出されました。同君は難病疾患である慢性肺血栓塞栓性肺高血圧に対する新規治療法であるカテーテルを用いた肺動脈形成術を開発・発展させ、同君を中心としたチームから英文学術論文が世界に先駆けて日本発で多数報告され、その業績数は圧倒的な世界トップの数であります。本治療法は2010年頃より日本少数施設にて世界をリードして開始され、2015年現在にて日本国内約2000名存在する認定患者のうち約600名が既に本治療を受け、極めて良好な治療効果と生命予後改善を認めております。同君らのチームは、その手技の開発のみでなく、合併症回避のための客観的指標の開発等、多くの意義深い臨床研究報告を行っており、難病疾患治療への変革という面で同君がもたらした価値は極めて高いものと考えられます。

本年3月までイタリアのシシリー島に留学していた大野洋平君は臨床研究奨励賞の症例報告部門を授賞しました。この賞は40歳以下で国内外を問わず、この 1 年間に筆頭著者として論文発表した循環器病分野における症例報告論文1編を評価するものです。大野君はイタリアでTAVIやMitraClip等の臨床を行い帰国しましたが、今回はその成果を症例報告部門に報告し、本賞受賞にこぎつけました。

 

3. 福田が文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞

平成27年4月15日文部科学省において、福田は文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞いたしました。本賞は5部門に分かれており、産業界の研究者が主として授賞する開発部門、大学研究者が主として授賞する研究部門、大学等の研究成果をベンチャー企業創出に結びつけた科学技術振興部門、中小企業・地場産業等の分野において優れた技術を開発した技術部門等に分けて授賞されます。私が受賞いたしましたのは科学技術賞の研究部門で、日本の科学技術の発展の寄与する可能性の高い独創的な研究を行った研究者に与えられる賞であり、数学、物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学等のさまざまな研究領域の中から、毎年各領域の受賞者が決定されます。私の他には、ノーベル章を授賞された青色発光ダイオードの名古屋大学天野浩教授、iPS細胞由来の網膜色素細胞を世界初で加齢黄斑変性症患者に移植を行った理化学研究所の高橋政代チームリーダー等も本年度同時に同賞を授賞されました。私の受賞理由はこれまでの心筋再生研究の総合的推進を行ったというものであり、これを励みにさらに一層の努力を積み重ねて参りたいと思っております。

 

4. 河村朗夫講師が防衛医大循環器内科准教授に就任

2015年4月にこれまで心臓カテーテル検査のチーフとして永らく活躍されてきた河村朗夫講師が防衛医科大学循環器内科(足立健教授、68回)の准教授として赴任されました。これからは防衛医大の循環器内科の若手医師を指導し、防衛医大の発展に尽力してくれることと期待しております。河村先生はこれまで心房中隔欠損症のアンプラッツァー閉鎖術においては日本一の症例数を誇り、毎年80例前後の手術をされてこられました。慶應循環器がStructure Heart Diseaseの治療では日本有数の成績を有しておりますが、その礎を築いた功績は大きく、私としても多大な感謝をしております。河村先生には防衛医大の発展を担って頂くとともに、更なる飛躍を期待しております。なお、心房中隔欠損症、動脈管開存症の閉鎖術に関しましては、金澤英明特任講師が河村先生の後任として引き続き、担当しております。今後はこれらの症例を発見されました際には金澤英明特任講師にご連絡あるいはご紹介賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

 

5. 慶應大学において慢性血栓塞栓性肺高血圧症の肺動脈剥離術を開始

本年4月、慶應大学心臓血管外科において、慢性血栓塞栓性肺高血圧症の肺動脈内膜剥離術(PEA)の第1例の手術が行われました。これまでは川上崇史助教のもとでバルーン拡張術(BPA)が行われて参りました。川上先生はこれまで100例以上の症例にBPAを行い、日本でも有数の症例をこなす本症の中核施設としての位置づけられるようになりました。これに伴い、同症の症例のうち、中枢型血栓症の症例も多く集まるようになりました。循環器内科では心臓血管外科の志水秀行教授と連携し、慶應大学でも中枢型血栓症の症例に肺動脈内膜剥離術を実施することとなりました。第1例目は本邦においてこの治療の先駆者である藤田保健衛生大学心臓血管外科前教授 安藤太三先生に慶應大学にお越し頂き、安藤先生、志水先生というゴールデンコンビで手術をして頂きました。今後はさらに症例を重ね、慶應大学では循環器内科、心臓血管外科の両面から本症治療に立ち向かって行く体制を取って参る所存です。症例のご紹介の程、宜しくお願い申し上げます。

 

6. LVAD実施施設承認に向けた取り組みの開始

本年4月現在、本邦において体外式および植え込み型の補助人工心臓(LVAD)の植え込み認証施設は40施設近くになりました。慶應では近い将来心筋再生医療を実施する予定であることから、早急にこの施設認証を得る必要がございます。また、現在のLVADは心臓移植を前提とした移植になっておりますが、近い将来destination therapyを目的とした移植が実施されることになるものと思われます。そこで、慶應大学循環器内科と心臓血管外科では昨年よりLVAD移植施設認定を目指して、内科医、外科医、麻酔科医、看護師、ME、その他の職種を集めて勉強会を実施して参りました。出来るだけ早い時期に承認に向けて症例を積み重ねて参りたいと思っております。皆様の診療施設で心臓移植あるいはLVAD移植手術が必要と考えられます症例が出ました折には早急に担当者に連絡を賜りたいと思っております。内科の担当者は河野隆志特任講師にご連絡頂けますと幸甚です。特に65歳以下の救急患者等でPCPSやAortic balloon pumpingが挿入されました患者さんが発生いたしました時には発生当日あるいは翌日を目処にご連絡を賜りますと幸甚です。PCPS等が長期間挿入され、多臓器不全になる前の早期の段階でのご連絡が重要となりますので、宜しくお願い申し上げます。

 

7. 平成27年度KICSおよび慶心会ビア・アーベントに関して

次回のKICSは平成27年7月4日(土)ホテル椿山荘東京に開催を予定しております。特別講演は以下を予定しております。ぜひ、ご参加賜りますようお願い申し上げます。

 

特別講演 『大動脈疾患に対する最新の治療戦略』

演者:慶應義塾大学医学部心臓血管外科

教授 志水 秀行 先生

 

●関連病院循環器研究会(KICS)

日時:7月4日(土)15時00分~17時45分

会場:ホテル椿山荘東京 4F アンフィシアター

 

●慶心会ビア・アーベント

日時:7月4日(土)18時15分~

会場:ホテル椿山荘東京 4F ギンコウルーム

 

慶心会がますます発展し、皆様にご満足が頂けますよう今後も尽力して参ります。ご意見、ご発案等ございましたら、いつでもご連絡ください。

記 平成27年5月吉日

 

深秋の候、皆様におかれましては益々ご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。

恒例の循環器内科教室便りをお送り申し上げます。

 

1.       末松医学部長が日本医療研究開発機構の初代理事長に就任

皆様も新聞・テレビなどの報道で既にご存じのことと思いますが、安倍政権が省庁改革・規制緩和の目玉としております日本版NIH(J-NIH)は来年4月1日に日本医療研究開発機構(AMED)として誕生いたします。これは文科省、厚労省、経産省がこれまでバラバラに研究費を支出していたのを一元化し、無駄なく効率的な医学研究支援を行うことが出来るというものです。この機構の初代理事長に末松誠慶應義塾大学医学部長が選出され、来年4月1日付けで就任されます。慶應義塾としては日本の医学研究の司令塔を排出したことを意味し、非常に名誉なことであります。しかし、これまで7年間にわたり医学部長を務め、慶應義塾医学部を見事に運営されてきた司令塔を同時に失うことに成り、現教授陣がどのように今後の医学部経営を担うか、試練の時を迎えるといえます。

 

2.       TAVI開始1年で本邦第2位の症例数に到達

2013年に保険償還された経カテーテル大動脈弁移植術(TAVI)は本年10月をもちまして78例に到達し、順調に症例を増やしております。この間、林田健太郎講師を始め、多くのスタッフの献身的な貢献により、より安全でより非侵襲的な治療として普及して参りました。手術室の枠を確保することが難しい等の制約がありますが、それでも症例数としては治験施設(症例数が先行)であった大阪大学に肉薄し、全国2位(関東では突出して多い)を達成しております。この疾患の他にも慶應大学循環器内科はStructure Heart Disease Interventionのメッカとして、全国に名を馳せるに至っております。

 

3.       第1回病病連携を促進する会を開催

上記の様に、高齢者の大動脈弁狭窄症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、肥大型心筋症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症の器質的心血管疾患、心房細動等の不整脈等肺動脈性肺高血圧症の症例は、多くの関連病院および関東甲信越地域の開業医、基幹病院からご紹介を頂いております。このため、循環器内科は病院への紹介率、逆紹介率が極めて高い診療科になっております。日頃、多くの貴重な症例をご紹介して頂いている病院の先生方との交流は必須のものではございますが、これまで充分な取り組みは為されて参りませんでした。今回11月1日(土)にJR秋葉原駅近くのステーションコンファレンス万世橋で開催することが出来ました。関連病院やその他の多くの地域基幹病院、診療所等の先生方にご参加頂き、ご紹介元の病院の担当医の先生による症例の提示、ご紹介先の担当医(今回は不整脈領域として高月誠司准教授、大動脈弁狭窄症領域として林田健太郎講師、肥大型心筋症領域として前川裕一郎講師)の双方にプレゼンテーション頂き、交流を深めることが出来ました。また、参加した先生方からは非常に勉強になったと好評でした。こうした取り組みは今後も続けてゆきたいと考えております。

4.       海外留学者が12名に到達

近年の学生、若手医師は海外への留学するものが減少している等のニュースがしばしば報道され、内向き思考が問題とされております。医学領域でも、地方大学や都市部にある私立大学でも同様の傾向が見られるとされております。しかし、慶應義塾大学循環器内科では、こうした内向き思考の若者気質とは大きく異なり、海外の一流研究施設、臨床施設で世界最先端の学問を修得しようという若者であふれております。米国に7名、カナダに1名、フランスに1名、ドイツに1名、イタリアに1名、韓国に1名留学中で、総勢12名に達しております。留学者のほとんどのものは日本循環器学会や様々な製薬企業等が公募する留学資金補助のグラントを獲得されております。これも、研究室に在籍中に優れた研究業績や学会のYIAや学術賞を獲得していることによるものであります。こうした取り組みは今後の慶應大学循環器内科の発展に大きく貢献するものと思っております。

 

5.       新村健先生が兵庫医大教授に就任

本年4月に老年内科が発展的に解消し、老年内科より新村健先生が循環器内科に合流し、循環器内科の専任講師(学部内)となられました。今回、兵庫医科大学総合診療科の教授選考がなされ、循環器内科教室として応援させて頂きました。その結果、新村先生は見事教授選に勝利されました。本年度は埼玉医大の岩永教授に引き続きの教授就任で慶事が続いております。新村先生は12月1日付けで就任予定で有り、12月4日に明治記念館で教授就任祝賀壮行会を行う予定です。

 

6.       30回生渡部良夫名誉教授がご逝去

循環器領域において、日本の心電図学の創始者でもある渡部良夫藤田保健衛生大学名誉教授渡部良夫教授が平成26年10月19日にご逝去されました。渡部先生は慶應大学ご出身で当時は相澤内科にご所属だったそうです。米国滞在が長く、本邦に帰国されましてからは、同大学の教授として、また日本への心電図学の普及にも大きな貢献を為されました。12月に『渡部良夫教授を偲ぶ会』(詳細未定)が開催されます。当教室でも多くの先生が渡部先生の心電図学の講義を聴かれていることと存じます。上記の会にご参加を希望される先生は循環器内科の医局にご連絡を賜りたく、お願い申し上げます。

 

7.       平成26年度KICSおよび慶心会ビア・アーベントに関して

次回のKICSは平成26年12月13日(土)ホテル椿山荘東京に開催を予定しております。特別講演は以下を予定しております。宮田先生は医療統計学のご専門で、日本に於ける大規模臨床データベースの作成や解析に大きな貢献をされております。KICSのデータベースの作成に大きな貢献を頂いております。実際の医療に即した講演を伺うことが出来るのではないかと思います。ぜひ、ご参加賜りますようお願い申し上げます。

 

特別講演 『臨床データベースの現状と発展可能性』

演者:東京大学大学院医学系研究科 医療品質評価学

教授  宮田  裕章  先生

●関連病院循環器研究会(KICS)

日時:12月13日(土)15時00分~17時30分

会場:ホテル椿山荘東京 4F アンフィシアター

 

●慶心会ビア・アーベント

日時:12月13日(土)18時00分~

会場:ホテル椿山荘東京 4F ギンコウルーム

 

8.       ビア・アーベントの際の会費の振り込みに関して

下記の口座に会費の振り込みを出来ればと思っております。お手間を取らせて恐縮ですが、宜しくお願いいたします。参加できるかどうか直前まで分からない場合には、会の4日前まで(12月9日(火)まで)に研究室方までお電話頂き、当日会費をお支払い頂いても結構です。

 

会費振込先  三井住友銀行 麹町支店 (店番号218)

口座番号  (普通)9067507

口座名 慶應義塾大学医学部循環器内科OB会 代表 福田惠一

会費          15,000円

 

慶心会がますます発展し、皆様にご満足が頂けますよう今後も尽力して参ります。ご意見、ご発案等ございましたら、いつでもご連絡ください。

 

記 平成26年11月吉日

 

新緑の候、皆様におかれましては益々ご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。 恒例の循環器内科教室便りをお送り申し上げます。

1. 今年度の新入医局員は11名

循環器内科の診療・研究体制の充実と新入医局員への積極的な勧誘が効をそうしまして、本年度の循環器内科の入局者は11名となりました。これは他の内科診療科に比しまして圧倒的に多い数であることは言うまでもございません。私および循環器内科に取りまして、最も嬉しいことであると思っております。
もちろん、これには関連病院で研修医を積極的に勧誘している慶心会の先生方のご尽力によるものと厚く御礼申し上げます。

2. 岩永史郎先生(64回)が埼玉医大国際医療センター教授に就任

岩永史郎先生は大学卒業後、慶應病院で病棟チーフや心機能室長を永くお勤めになり、平成22年からは東京医科大学八王子医療センターにおいて循環器内科准教授として活躍されておりました。心エコー図領域、心不全領域、医学教育領域で大きな貢献をされてきたことが髙く評価され、平成26年4月1日付けで埼玉医科大学国際医療センター循環器内科主任教授として赴任されました。慶心会と致しましては、防衛医科大学足立教授以来の教授就任となります。また、慶心会出身の現役教授としては6人目となります。慶心会として、岩永先生の教授就任をお祝いする会を平成26年8月2日(土)夕方に明治記念館にて開催する予定です。詳細は後日改めて、ご連絡申し上げます。ご多忙中恐縮ではございますがぜひご出席賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

3. 卒後内科臨床研修の新制度設立へ

卒後新臨床研修制度が発足して以来、内科学教室はこれまで3年目に入局し、3年目に7内科学教室をすべてローテート研修し、4年目に関連病院に出張して内科学全般あるいは各専門領域を勉強する研修の方式をとって参りました。この方式ですと、関連病院に取りましては一番の働き手になる若手医師の人数を確保出来にくくなること、大学に在籍する時間が長くなり、人件費を捻出することが困難になること等の問題を内在しておりました。この問題を解決すべく、医学部・病院と内科学教室が相談をし、以下のような2通りの研修制度を採用することに致しました。

(ア) 循環器優先研修コース 各関連病院に在籍する2年目の研修医が11月後半までに循環器内科に入局を宣言しますと、卒業後3年目は現在の在籍中の病院あるいは循環器内科が指定する関連病院で内科全般の卒後臨床研修を勉強して貰います。これは将来的に内科専門医制度(現在の内科認定医制度は無くなります)が3年間の内科研修を必須化することに備えるものです。そして、卒業後4年目は現在の病院あるいは循環器内科が指定する関連病院で循環器内科の専門医としての研修を行うことになります。この制度の最大の利点は、皆様が卒業後2年目の初期研修医を勧誘され循環器内科に入局させた場合、皆様の病院で引き続き3年目、4年目に専修医として働いてもらうことが可能で、皆様の病院の循環器診療を充実されることに直結出来ることが挙げられます。入局を宣言した医師は5年目に大学循環器内科に戻り、循環器内科で最先端の臨床教育、基礎研究教育を受けることになります。したがって、皆様が積極的に人材を勧誘されることが、慶應大学の循環器内科の臨床、研究、教育の充実にも繋がります。循環器内科に入局した医師は、数年後には関連病院に出向しますので、ひるがえって皆様の病院の繁栄に繋がります。

(イ) 大学内科入局コース 従来のコースで、3年目に慶應大学病院の内科に入局し、7内科をローテート研修し、4年目を関連病院に出張してもらいます。4年目の出張先病院は研修時の成績により、順番に病院を選んで行く方式になります。広く内科研修で出来るメリットがある反面、卒後4年目出張する病院は成績順となるため、必ずしも自分の希望する病院で研修出来なくなる場合もございます。内科各科への入局は4年目の後半に決め、5年目に入局することになります。5年目は循環器内科が指定する関連病院で循環器内科の臨床研修を行って貰うことになり、大学の医局には6年目に戻り、循環器の専門医研修が始まります。

いずれのコースを選択した場合も専修医が関連病院に2年間出張する従来の形に戻ることになり、関連病院に取りましては充実した診療体制を取ってもらうことが出来るようになります。7月26日と9月(日程検討中)に入局者説明会を行いますので、先生方の病院の研修医を参加させるようにご指導賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

4. レジナビへの出展による新入医局員の確保

これまで慶應大学は卒後臨床研修センターがレジナビに参加しておりましたが、各診療科が出展することは皆無でした。これに比して、東京女子医大等は各診療科でレジナビに出展し、積極的に人材を集めてこられました。レジナビ東京会場の参加者は毎年700名程度を越えております。私どもの調査に寄りますと、このうち循環器内科希望者は30名程弱度おり、全体の中で最も多い数であることが明らかとなりました。そこで、本年度より後期臨床研修医を対象としたレジナビに循環器内科として出展し、新たな人材の確保を行うことと致しました。もちろん、コストはかかりますが、慶應大学病院および関連病院の発展のためには必須の事業であると考えております。レジナビで確保した人材は上記の①の循環器内科優先コースに入って貰い、3年目、4年目を関連病院で過ごして貰う予定をしております。詳しくは慶應大学循環器内科のホームページのレジナビのサイトをご覧下さい。

5. 病病連携の会を開催

慶心会の先生方には、慶應大学の循環器内科の診療の特徴として、Structure Heart Disease(心房中隔欠損症、動脈管開存症、肥大型閉塞型心筋症、大動脈弁狭窄症、慢性血栓閉塞型肺高血圧症等のカテーテル治療)、心房細動を中心とした不整脈のアブレーション、ペースメーカ・ICD・CRTの植え込みと抜去、肺高血圧診療等の専門診療を行っております。このため、関連病院のみならず、関東甲信越の多くの病院から大勢の患者さんが紹介され、高度な診療が円滑に進められております。
そこで、本年度から慶應病院に1例でも患者さんを紹介して頂いた病院の先生方を対象に病病連携の会を開催するとこに致しました。この病病連携の会はご紹介頂いた患者様の内で代表的な症例を、ご紹介頂いた先生に3―5分程度プレゼンして頂き、その症例に対しどのような治療を行ったかを各診療の担当医が15分程度プレゼンするものであります。その後に10分程度ディスカッションを行います。2―3例の症例提示の後に慶應の担当者から一演題程度のレクチャーを行う予定です。本年度は11月1日(土)の夕方に予定しております。関連病院の先生方におかれましては、若手医師をご同伴の上、ご参集頂けますと幸甚です。詳細は改めてご連絡申し上げます。

6. 慶應大学循環器内科カンファレンスを発行

慶心会の先生方におかれましては、既にご存じの先生もおられるかと思いますが、毎週木曜日の朝に実施しております臨床カンファレンスを録音したものを原稿に落とし、医学出版社から月刊誌レジデントに『慶應大学循環器内科カンファレンス』として発行しておりました。この企画を行って既に3年目を迎えましたが、この月刊誌の企画をまとめて、単行本に纏めました。本年3月に医学出版社から発売いたしました。現在の循環器内科の毎週木曜朝のカンファレンスがどのように進行しているのか、最近の話題はどんなことが為されているのか等、皆様におかれましては、大変懐かしくも有り、また興味があるものではないかと思っております。比較的お求めやすい価格にして販売しておりますので、皆様の書棚にあるいは各病院の図書室にご購入頂けますと幸甚です。若手医師の循環器内科への勧誘にもお役立てして頂けますと幸甚です。

7.平成25年度KICSおよび慶心会ビアアーベントに関して

次回のKICSは平成25年7月12日(土)リーガロイヤルホテル東京に開催を予定しております。特別講演は以下を予定しております。坂田先生は鹿児島大学、京都大学で心臓血管外科の教授を務められ、心臓外科領域を牽引される関西の雄です。実際の医療に即した講演を伺うことが出来るのでは無いかと思います。ぜひ、ご参加賜りますようお願い申し上げます。

特別講演「冠血行再建術(PCI、CABG)の選択-新ガイドラインをもとに-」
京都大学心臓血管外科教授 坂田隆造先生

8. ビアアーベントの際の会費の振り込みに関して

下記の口座に会費の振り込みを出来ればと思っております。お手間を取らせて恐縮ですが、宜しくお願いいたします。参加できるかどうか直前まで分からない場合には、会の2日前までに研究室方までお電話頂き、当日会費をお支払い頂いても結構です。

会費振込先
三井住友銀行 麹町支店 (店番号218) 口座番号  (普通)9067507
口座名 慶應義塾大学医学部循環器内科OB会 代表 福田恵一

慶心会がますます発展し、皆様にご満足が頂けますよう今後も尽力して参ります。ご意見、ご発案等ございましたら、いつでもご連絡ください。

記 平成26年5月吉日

 

慶應義塾大学循環器内科は、塾医学部創設当時の内科開学の祖西野忠治郎先生の流れを組む石田二郎先生を初代教授とし、これ以後笹本浩教授(2代目)、横山哲朗教授(3代目)、小川聡教授(4代目)を歴代教授に迎えた伝統ある教室であります。心臓、肺に焦点を絞り、呼吸循環器内科として長らく診療を続けて参りましたが、小川教授(現名誉教授)の代に循環器内科と呼吸器内科に独立し、現在に至っております。また、慶應のみならず他学にも教授を中心とした教育職に多くの人材を 輩出し、本邦の内科診療の要を担って参りました。私は2005年に循環器内科から坂口光洋記念講座再生医学教室教授として5年間赴任しておりましたが、2010年に研究室としては5代目教授(循環器内科としては初代教授)として帰室し、現在に至っております。

公衆衛生の普及、人口の高齢化、食生活の欧米化、飽食の時代を迎え、本邦の循環器疾患構造は大きく変革し、従来の心臓弁膜症による心不全が診療の中心で あった時代から虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)が疾患の中心となる時代、かつ冠動脈インターベンション、不整脈治療、心不全治療のデバイスが日進月歩で 変遷してゆく時代を迎え、循環器内科は時代に即応した診療・教育・研究体制を敷いております。臨床面では心カテ班、不整脈班、病棟班、心機能班、肺高血圧班に分かれて診療を分担することで、各領域における最高レベルの治療が行われております。

心臓カテーテル班は3チーフ体制で担当し、河村朗夫講師が経皮的心房中隔欠損閉鎖術、経皮的動脈管閉鎖術などの成人先天性心疾患に対するインターベンション、前川裕一郎講師が冠動脈インターベンションと閉塞性肥大型心筋症の経皮的中隔心筋焼灼術、林田健太郎講師が大動脈弁狭窄症、僧帽弁狭窄症のバルーン形成術などの成人領域のstructural heart disease (心構造疾患)に対するインターベンションを担当しています。2013年には林田講師による経カテーテル大動脈弁留置術が開始予定であり、最先端の治療が展開されております。

不整脈班は高月誠司講師を中心として、心室頻拍、発作性上室性頻拍、WPW症候群、心房粗動、心房細動に対し、カテーテルアブレーション術を施行しております。モットーは「患者にやさしく、クオリティーの高いアブレーション」です。特に高月講師は心房細動のアブレーションを得意としておりますが、3次元マッピング装置を使用し、レント ゲン透視時間が短く、治療成績が良いのが特徴です。他施設からも多くの 患者さんが紹介されてまいります。また心室頻拍に対しても、谷本耕司郎客員講師の指導で心内エコーを用いて心筋病変部位を可視化しながら効率的にアブレーションを行い、非常に高い治療成績です。徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療、心室頻拍に対する植え込み型除細動器 (ICD)治療、心不全患者に対する心臓再同期療法(CRT)も積極的に行い、好成績を上げております。またそういった不整脈の植え込み型デバイスの遠隔モニタリングにも取り組んでおり、患者様の生活の質の改善に努めております。

心機能班では、村田光繁講師、鶴田ひかる助手を中心として、心電図、心エコー、経食道心エコー、運動負荷、ホルター心電図などの診断を行い循環器日常診療に貢献しています。さらに、若手医師の教育や臨床研究にも力を注いでおります。

肺高血圧診療は、慶應大学が伝統的に日本の中心を担ってきた領域で、現在、田村雄一助教を中心に診療が行われております。近年この領域は治療薬の開発が著しく、以前に比して治療成績は著しく好転し、さらなる向上が期待されております。2012年から川上崇史助教による慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症のバルーン肺動脈形成術も開始しております。

関連病院との緊密な連携により、循環器に特化した手技別・疾患別の大規模レジストリ研究を進めています(インターベンション、心不全、心房細動)。その関連病院ネットワークを 【KICS (Keio Interhospital Cardiovascular Studies)】 と総称していますが、現場の先生方の精力的な臨床活動を専属の臨床コーディネイターの手によってデータ化し、発信を続けています。事務局の香坂講師、植田助教を中心に、インターベンションの質の評価や循環器疾患の日米間比較など、着実に成果をあげ始めています。

研修医および後期臨床研修医には実践的かつ体系的な教育が行われています。病 棟に配属され、病棟責任医の教育・指導下に病棟主治医(後期臨床研修医:オーベン)とチームを組んで患者さんの診療に当たります。また、新入院カンファレンス、心臓カテーテルカンファレンス、内科外科合同カンファレンス、教授回診、クルズスが予定され、毎日しっかりとした教育が組まれております。

リサーチカンファレンスでは教室内の先生方の臨床・基礎研究成果報告だけでなく、学外からも多くの最先端の診療・研究を行っている方々をお招きして、講義が行われ、市中病院では得ることの出来ない専門性の高い循環器病学を習得することが出来ます。

卒後4年目の医師は慶應大学関連の教育中核病院に出張し、実地医療をみっちり習得した後、循環器内科に入局します。 入局後1年間は病棟に配属され、病棟責任医の元で循環器医として心不全、虚血性心疾患、不整脈等の患者の治療法に関し、実践的なトレーニングを積みます。5年目以後は心カテ班、不整脈班、心機能班をローテートし、最先端の循環器病診療を習得することになります。

研究面では私が再生医学を専門とすることもあり、安全かつ効率的にiPS細胞を作出する技術、ES細胞やiPS細胞 から心筋細胞を誘導する技術、再生心筋細胞を純化精製し安全に移植する技術等の開発に全力を傾注し、心臓病の再生医学では世界の先端を走る有数の研究室となっております。家田真樹講師は線維芽細胞に3つの遺伝子を挿入することにより、未分化幹細胞を介さずに直接心筋細胞を誘導する方法を開発し、世界的に大きな注目を集めた研究を推進しております。

佐野元昭准教授は心筋梗塞後の免疫応答、メタボローム解析を駆使した心肥大、心不全における心筋代謝解析とイメージング、心筋抗酸化ストレス応答などの疾患生物学研究を積極的に推進し、多くの研究成果を残しております。また、心筋虚血再灌流、心肺停止蘇生時の臓器保護に対する水素ガス吸入の有効性を実証し、臨床研究にまで発展させております。また湯浅慎介講師を中心として、iPS細胞技術を応用して、遺伝性心筋疾患やQT延長症候群、肥大型心筋症、先天性心疾患等の病態解明、治療法開発を進めております。その他、心臓と交感神経の相関関係、心臓弁膜症発症に分子機序、心不全・発生段階のエピジェネテックス解析、microRNAによる調節機構の解析を積極的に行っております。牧野伸司准教授は、ゼブラフィッシュ・メダカなどの小型魚類をモデル動物として順遺伝学的手法を用いて解析を行い、遺伝性心疾患に対する独創性の高い研究を進めております。

以上のように若い世代の育成に全力を注ぐとともに、臨床、研究、教育面で世界の最高峰を目指すべく、努力を続けております。次世代を担う若い先生方にはぜひ日一度研究室を見学していただければ幸甚です。

記 平成25年7月1日

 

 

ページの先頭へ