循環器内科では、海外での基礎および臨床研究留学、最近では臨床留学(カテーテルインターベンション、不整脈アブレーション)を積極的に行っております。アメリカ、カナダはもちろん、ヨーロッパ、アジアとグローバル化の波に乗るかのように常に数名の留学者が世界各国で活躍しています。留学された先輩からのメッセージをご覧ください。このように、自分の興味のある分野について、世界の第一人者の先生の元で研鑽をつむことが可能です。

先輩からのメッセージ

"Report from Sicily to Japan"

カターニャ大学フェラロット病院(イタリア、カターニャ)
大野 洋平

本年3月よりStructural Heart Disease InterventionのClinical FellowとしてCatania(Italy)にあるCatania大学のFerrarotto病院に留学しています。目的は日本でまだ始まっていない様々な手技や研究を学ぶためです。まだ二ヶ月余しか経過していませんが、すでに多くの経験をさせてもらっています。具体的には、 TAVI (Transfemoral、Transapical、Transaortic)、MitraClip、ASD/PFO閉鎖、左心耳閉鎖、 Parachute(新しい左室瘤デバイス)など、例をあげればきりがありません。また、Coronary interventionの領域でも、自己拡張型薬剤溶出ステントや生体吸収ステント(BVS)など、新しい治療器具をいち早く使っています。今年のEuroPCRでは、TAVI、MitraClip、Coronary intervention 2件と一日で4本のライブを飛ばしたのでとても忙しい一日でしたが、素晴らしい結果に終わり、みんなで喜びを分かち合いました(写真参照)。また、こちらに来て早々の自分にTAVIのセッションで症例紹介、PCIのケースではMain ArenaでIVUSのコメントまでさせてもらって貴重な経験をさせてもらえました。

なぜ留学するのか?もちろん新しい技術、知識などを学ぶためであることは言うまでもありませんが、その国、地域の人間になりきって、医療、文化などを幅広く学び、「人間力」を身に付け、生涯を通して付き合えるかけがえのない仲間を得る事が何よりも重要だと考えています。

EuroPCR 2013にて当院よりTAVIのLive Demonstrationを行った直後にTAVIチームで撮った一枚。左よりDr.Attizzani, Dr.Sgroi, 自分, Dr.Immè (2013.05.23)
EuroPCR 2013にて当院よりTAVIのLive Demonstrationを行った直後にTAVIチームで撮った一枚。左よりDr.Attizzani, Dr.Sgroi, 自分, Dr.Immè (2013.05.23)

"Building a new bridge"

Asan Medical Center(韓国、ソウル)
尹 誠漢

2013年4月1日から韓国SeoulにあるAsan Medical Center(AMC)Interventional Cardiology部門にInternational Fellowとして留学を開始、はや2ヶ月が経過しました。Asan Medical Centerは病床数2800床と世界で3番目に大きく、病院というよりは巨大なホテルのような概観で、レストランやカフェがある地下は迷子になるくらいです。Interventional Cardiology部門はNEJM, JAMA, JACC等へのpublicationだけでなく、TCTAPをはじめとする国際学会の開催やTCT, CIT等へのLive Demonstration中継、世界中の医師へ最新の知見、技術を提供するACT program等のEducationと活動は多岐にわたります。

AMCでは朝6時半からカテ業務が開始、一日20-30件前後のCAG, PCIが行われ、FFRを基本とするFunctional Angioplastyを主に、Peripheral Intervention, Endovascular Intervention, TAVIをはじめとするStructural Heart Disease Interventionが毎日行われています。 留学の目的は、新たな知識・技術の習得や国外の生活を通した新たな世界観の獲得など人それぞれだと思います。祖国である韓国に住んだこともなければ友人もいない、言葉も分からない自分にとっては、韓国は最も近くて最も遠い国であります。でもだからこそ自分は、韓国のAMCで学ぶべきだと考え留学を志しました。当たり前のことではありますが、常に患者の利益を最優先することと、最新のEvidenceに基づく臨床は表裏一体であり、その先に新たな知見を生み出す研究が存在すること、そしてそれらは全ての医療従事者の研鑽によるものだということを日々、実感しております。

留学に際して快く送り出してくださった福田教授、牧野先生、常日頃サポートしてくれる家族に感謝しつつ、現在この地で奮闘しております。

若きスタッフ、フェロー達と筆者(左から2番目)
若きスタッフ、フェロー達と筆者(左から2番目)

シカゴでの研究留学

University of Illinois at Chicago(米国、シカゴ)
河野 隆志

2010年(医者12年目)より3年間、福田教授、小川前教授、安斉先生(現 国立循環器病センター心不全科部長)のご高配のもとUniversity of Illinois at Chicago (UIC) に3年間postdoctoral research associateとして留学する機会を頂きました。シカゴは、私の所属したUICの他に、University of ChicagoやNorthwestern Universityなどトップレベルの研究機関が存在し、世界各国から様々な分野の研究者が集う街です。私が所属していたFukaiラボも、インド、日本、韓国、中国、イタリア、そして米国といった構成でした。ラボの大きなテーマは酸化ストレスと心血管疾患に関する研究ですが、私は血管リモデリングのプロジェクトを担当し、血管平滑筋細胞の遊走を標的とした治療を開発すべく研究に励みました。主にvivo実験で用いた血管傷害モデルはもちろんのこと、培養細胞の使用経験すら無い私が、何とかやっていけたのも、優秀かつ性格も最高に素晴らしい仲間にめぐりあい、助けてもらいながら切磋琢磨できたからだと思います。これは本当に幸運でした。

留学生活の良いところはメリハリのきいた生活となるため、家族と過ごせる時間は圧倒的に多く持てます。週末にドライブがてらキャンプ、ハイキング、湖水浴(海が無いので、、)、フルーツ狩りなどを楽しんだのは本当に良い思い出です。学齢期の子供を連れての留学でしたので渡米直後は本当に心配しましたが、子供の順応する能力は素晴らしく、子供の友達を通じた色々な家族との出会いは貴重でした。

留学生活では、研究に没頭できるのも魅力ですが、日本では絶対に経験しないであろう (しなくても良いものもありますが、、)貴重な瞬間が多々ありますので、是非皆さんも体験してみて下さい。

最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださいました福田教授ならびにご指導頂いた全ての方々、そして私の夢と言う理由だけでシカゴ生活を共にしてくれた家族のみんな、本当にありがとうございました。

シカゴダウンタウンにあるUICのキャンパス
シカゴダウンタウンにあるUICのキャンパス

日本では体験できないこと

Cedars-Sinai Medical Center(米国、ロサンゼルス)
金澤 英明

私は、2010年10月から2012年12月までアメリカ、Los AngelesにあるCedars-Sinai Medical Centerにて虚血性心疾患に対する幹細胞移植、心筋再生療法の研究留学を経験させて頂きました。

私の勤務していたこの病院は西海岸を代表的するプライベートホスピタルで、Beverly Hillsの非常に治安の良い場所にあり、安心して研究生活を送れる環境にありました。私がこの施設を選んだ理由は、ラボのボスであるEduardo Marbán先生は、基礎研究のみならず、虚血性心疾患患者に対する幹細胞移植の臨床治験も行っているため、臨床的見地から基礎研究へのフィードバックが容易な環境にあり、Translational Researchに有利であると考えたからです。留学中は大動物(ブタ)を用いた前臨床試験のプロジェクトを施行し、実際の臨床トライアルを立ち上げるプロセスに参加することができ、通常の基礎研究留学とは一味違った非常に貴重な経験ができた研究留学でした。

さて、ラボは多国籍メンバーで構成されており、アメリカ人を始め、イタリア、インド、ギリシャ、中国、韓国など10ヶ国以上からポスドクやテクニシャンが集まっており、人種のるつぼと称されるこの都市同様に、様々な文化や考え方に触れる場でもあり、自分が日本人であること、日本の文化、習慣について再認識するいい機会となりました。

日常生活においてもLos Angelesという恵まれた環境の恩恵を受けました。まずCaliforniaの青空を毎日見ることが出来る温暖で快適な気候。また、ピクニックに最適なビーチや公園が近くにあり、さらにはテーマパークや動物園、博物館といったプレイスポットも無数にあるのもLos Angelesならではだと思います。また、日系のスーパーが充実しており日本食に困らないことも子供3人を連れた家族での留学生活にとって重要な点だと感じました。

このように家族と多くの方々の支えと協力のおかげで、研究、日常生活の両方において、日本では体験できない充実した貴重な日々を送らせて頂いたことに大変感謝しております。

リサーチチームメンバーとの写真(左前に座っているのが筆者)
リサーチチームメンバーとの写真(左前に座っているのが筆者)

スタンフォード大学留学記

スタンフォード大学(米国、サンフランシスコ)
谷本 耕司郎

2009年6月から2011年6月まで米国スタンフォード大学病院循環器内科不整脈部門に留学させていただきました。スタンフォード大学はカルフォルニア州、スタンフォード(サンフランシスコから南へ車で40分程度)にある私立大学です。US News社による全米医学部ランキング(research部門)ではハーバード大学に次いで2位と全米から優れた学生が集まってきています。スタンフォード大学病院は大病院というよりも地域の基幹病院であり、病床数・症例数は多くはありませんが、エリート大学病院・シリコンバレーといった土地柄、先端的な臨床研究を行っています。

私が留学した循環器内科不整脈部門には6人のスタッフ(教授1、非常勤教授1、准教授1、講師2、非常勤講師1)で運営されており、フェローと呼ばれる不整脈専修医が4人いました。准教授のHenry H. Hsia先生のもと、心室頻拍のアブレーション検査について、EPS/ablationの術中解析・刺激等を担当しました。日本と違い陳旧性心筋梗塞に伴う心室頻拍の症例が多く、貴重な経験を積むことができました。また、不整脈フェローとは年齢的にも近く、仕事だけではなく、プライベートでも楽しく交流する事ができました。

スタンフォードでの2年間は、自分にとってかけがいのない2年間であり、現在の臨床および研究に大きな影響を与えています。実際に生活しないと分からないその国の生活習慣や考え方を学ぶ良い機会になると思いますので、若い先生方にはぜひ海外留学をしていただき、世界を広げていただきたいと思います。

不整脈フェローと
不整脈フェローと

パリでTAVIと文化を学んで

Institut Cardiovasculaire Paris Sud (ICPS), Massy 2009年 – 2012年
林田 健太郎

私は2009年10月から2012年11月まで3年間ほど、フランスのMassyというParis郊外のベッドタウンにある、Institut Cardiovasculaire Paris Sud (ICPS)(パリ南心臓血管研究所)というところにinterventional cardiologyのfellowとして留学していました。心臓カテーテル治療や

それに関する研究をメインとしており、年間PCI件数は1500件ほどで、もう一つのグループ病院を合わせると2600件ほどの施設です。

私はそこで主にTranscatheter aortic valve implantation (TAVI、経皮的大動脈弁留置術)を中心としたStructural heart disease (SHD、心構造疾患)に対するインターベンションを中心に勉強してきましたが、この施設ではTAVIを2006年より開始しており、フランスで最も症例数の多い施設でした。fellowは特にclinicalとresearchの区別はなく、全員が両方を行うことが期待されています。出身国は多岐にわたり、イタリア、スペイン、アイルランド、スイスなどヨーロッパ諸国からアルジェリア、レバノンなど旧フランス植民地国、またインドなどからも来ており、日本人のフェローは私が初めてでした。様々な国から来るフェロー達と多くの時間を共有することにより、かけがえのないinternationalな仲間を得ることができたことは一生の財産です。また素晴らしい上司に恵まれ、結果として日本人として初のTAVI指導医の資格を取得することができました。

またMassyにおいては長らく私が最初で唯一の日本人でしたので、職場の人間の大半に取っては私が唯一接したことのある日本人でした。私はいわば小さな「日本代表」だったのであり、自ずと日本人の印象を良くするべく、適切に振舞おうと努力していた気がします。

留学の意義とは?フランス人と話していて、自分が日本から来たというと、「ずいぶん遠くから来たね」と言われることが多いのですが、彼らにとって日本は極東のまだ見ぬ遠い国なのです。彼らの頭の中には、我々日本人が慣れ親しんでいる世界地図ではなく、ヨーロッパを中心にした世界地図が思い浮かべられています。このようなdiscrepancyは医療内容についても顕著で、世界標準を知った上で、日本で行われている医療のadvantage, disadvantageを理解し、彼らのコミュニティーの中で対等な立場でdiscussionできる人材を育てていく必要があります。われわれ若手世代がどんどん海外に出て目標を日本国内のみならず世界に持つことは大変重要なことなのではないでしょうか?

最後に、留学希望の先生方には、「自分が一番やりたいことが何なのか」を強く意識することをお勧めします。留学生活は苦労することも多々あるので、自分が一番やりたいことを追求するのが、何があっても克服できる、最終的なhappyにつながっていくのではないか、というのが私の、これから留学を志す先生方へのアドバイスです。

恩師Dr. Lefevre(左)とTAVI live demonstrationを行う筆者(右)
恩師Dr. Lefevre(左)とTAVI live demonstrationを行う筆者(右)

留学先

アメリカ・カナダ
アメリカ・カナダ
ヨーロッパ、アジア
ヨーロッパ、アジア

ページの先頭へ