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留学について

循環器内科では、海外での基礎および臨床研究留学、最近では臨床留学(カテーテルインターベンション、不整脈アブレーション)を積極的に行っております。アメリカ、カナダはもちろん、ヨーロッパ、アジアとグローバル化の波に乗るかのように常に数名の留学者が世界各国で活躍しています。留学された先輩からのメッセージをご覧ください。このように、自分の興味のある分野について、世界の第一人者の先生の元で研鑽をつむことが可能です。

留学体験記

McGill Adult Unit for Congenital Heart Disease Excellence(MAUDE Unit)
(カナダ、ケベック州モントリオール)

小平 真幸(84回)

2020年(医者15年目) よりMcGill University Healthcare Center (MUHC) にある、成人先天性心疾患adult congenital heart disease (ACHD)診療部門MAUDE Unitに clinical fellowとして留学する機会を頂きました。当部門はカナダではトロント大学と並んで歴史があるACHD診療部門となります。MAUDE Unitでは、日本ではまだ十分に移行医療が進まず小児循環器内科医がフォローしていることも多いACHD患者の診療を循環器内科医がチームを結成して担っています。また研究面では、Ariane Marelli教授が築き上げたQuebec先天性心疾患データベースを利用してACHD疫学研究の礎となる論文を多数発表してこの分野を牽引しています。

私は現DirectorのJudith Therrien教授からマンツーマン指導を受けながら外来と病棟でACHD診療にあたりました。ファロー四徴症の診療指針の元になる論文を多数執筆しているTherrien教授から身体所見や心エコー読影を教えていただけるのはとても勉強になりました。フェローシップの教育プログラムは総合的に充実していて、先天性心疾患の心臓MRI読影と心臓カテーテル検査についても各専門医から指導を受けながら多数の症例に携わることができました。

ACHD専門医としては先天性心疾患の手術を詳細に理解していることが求められますが、心臓外科医Christo Tchervenkov教授からは” Hey Masa, come!” といつも声をかけていただいて術式を手術中に解説して頂きました。

臨床研究では、Marelli教授の指導と統計チームのサポートもあり、カナダ全土のデータベースを解析しインフルエンザウィルス罹患がACHD患者の長期予後に与える影響について発表することができました。(写真1 Therrien教授/Marelli教授含むMAUDEスタッフメンバー)

写真1 MAUDE成人先天性心疾患診療部門スタッフ(筆者のfarewell partyにて)

臨床で留学するからには実際に診療行為ができる留学先を私は探していましたが、カナダでの臨床留学は私の描いていた希望通りのものでした。履歴書を添えてTherrien教授に2018年にemailしたのがはじまりでしたが、そんな紹介なしでアプライした私を受け入れてくれた寛大さは一緒に働き出してからも変わりありませんでした。冬にはスキーリゾートの別荘に私たち家族を招いてくれて、こどもたちにスキーレッスンまでしてくれました。また、留学先では同僚にも恵まれました。コロンビアからのフェローのCarlosとイスラエルからのフェローのYoni(写真2)からは、留学中に医学のことだけでなく彼らの国の文化や宗教について多くのことを学びました。彼らとはいまでも連絡を取り合って、診療の相談やお互いの家族の話をしています。

帰国後、2022年4月から慶應義塾大学病院においてACHD診療をしております。MAUDEで学んだことを最大限活かして、少しでもこちらのACHD患者さんの役に立てればと思っております。また、Marelli教授のチームと連携していただきながら、本邦でのACHDの疫学研究の発展に貢献するつもりです。

最後になりましたが、留学をするまで私を導いてくださった慶應義塾大学循環器内科医局の先生方、そして私の家族に感謝したいと思います。

写真2 留学中の同僚フェロー(左Carlos、中央Yoni )

留学体験記

University of Texas Southwestern Medical Center
(米国、テキサス州)

西山 崇比古(84回)

2019年(医者15年目)よりUniversity of Texas Southwestern Medical Center (UTSW) にある、Eric N. Olson教授の研究室に Postdoctoral fellowとして留学する機会を頂きました。当研究室は、筋細胞の発生、分化および遺伝子経路を解析し、疾患の病態解明および治療に向けた創薬標的の探索を掲げ、循環器領域においては常に世界をリードする業績を挙げています。特に、Duchenne型筋ジストロフィー症の遺伝子治療を世界で初めて報告し、遺伝子編集を用いた筋疾患治療の最前線にいる研究室です。 私は難治性拡張型心筋症の新規治療法の開発をプロジェクトに掲げ、CRISPR/Cas9による塩基編集技術を用いた治療を開発すべく研究に励みました。コロナ禍の中、挫折することも多くありましたが、世界中から集まった優秀なラボの仲間に支えられ、本研究を完遂することが出来ました。

留学を考えている時は、研究面や業績を積むという観点に目が向きます。しかし、いざ留学生活が始まってみると、現実は環境・文化の違い、言語の壁、様々なトラブルに巻き込まれることが多く、生活基盤を整えることで精一杯となりました。そして、ラボメンバー達は自分以上に大変な環境の中で仕事をし、研究知識の乏しい私にも手を差し伸べていてくれたことに気がつきました。彼らは、仕事は熱心に打ち込みますが、オフの時は積極的に人生を謳歌し、楽しい時間を過ごしているのが凄く印象的でした。研究に真摯に打ち込むことは重要ですが、人とのつながりや、同僚や家族と過ごす時間の大切さを改めて認識しました。

最終的には、研究者としてだけではなく、人として成長する機会のあった、実りのある留学生活を送ることが出来たと思っています。PIのEric N. Olson教授ならびにラボメンバーに感謝するとともに、今後は留学中に学んだ知識や経験を活かし仕事に従事していきたいと思います。

留学を少しでも考えていらっしゃる若い方がいましたら、是非、世界に飛び出してみてください。研究だけではなく、海外での様々な経験が人生を豊かにすると思います。最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださいました全ての方々、そして、私の夢という理由だけでアメリカ生活を共にしてくれた家族に感謝したいと思います。

筆者のfarewell partyにて

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