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再生・遺伝子治療 | 病態解明 | AI・ゲノム

再生・遺伝子治療

心不全に対する新しい心臓再生法の開発
心臓の発生・再生・疾患を制御する分子機構の解明

当教室の家田教授は世界で初めて、マウス非心筋細胞(線維芽細胞)を拍動する心筋細胞に転換できる心筋リプログラミング遺伝子群(Gata4, Mef2c, Tbx5)を発見しました(Ieda et al., Cell 2010)。その後、ヒトでも同様の遺伝子群の同定に成功し、さらに心筋リプログラミング治療で、心筋梗塞マウスの梗塞巣が縮小して心機能が改善することを発表し、その分子機構を明らかにしてきました (Tani et al., Circulation 2023)。またこの細胞リプログラミングという研究手法を応用して、心臓の発生に関わる新規遺伝子Tbx6を同定し、多能性幹細胞からの新たな心筋細胞誘導法を開発しました (Sadahiro et al., Cell Stem Cell 2018)。このように細胞移植を必要としない新しい心臓再生法の開発や、循環器疾患の病態解明を目指して、独創的な研究を展開しております。

また、心臓の遺伝子異常を原因とする先天性心疾患の表現型は多種多様ですが、その詳細な分子機序はわかっておりません。我々はマルチオミクス解析を用いる事により、心筋リプログラミングと心臓発生には遺伝子の転写制御機構に多くの共通点がある事を見出しております (Garry et al., Nat Cell Biol 2021; Hashimoto et al., Cell Stem Cell 2019; Hashimoto et al., Nat Rev Cardiol 2018)。当研究室では心筋リプログラミング技術を応用して、心疾患の新たな分子機序解明と共に心臓を作る技術開発に取り組んでおります。

遺伝子治療

遺伝子治療は、遺伝子異常による疾患に対する革新的な医療アプローチあり、神経難病など一部の領域ではすでに臨床応用されています。異常な遺伝子を正常な遺伝子で置き換えたり、不足している遺伝子を導入したりすることで、細胞や組織の機能を回復させることが可能です。更に、遺伝子改変技術により遺伝子を一塩基編集することも可能となっており、循環器領域でも臨床応用に向けた研究が行われています(Nishiyama et al. Circulation. 2021)。当研究室でも、心筋症をはじめとした難治性心疾患治療や心筋再生を目指して、遺伝子治療の研究を行っています(Nishiyama et al. Sci Transl Med. 2022)。

一塩基編集による拡張型心筋症治療

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iPS心筋を用いた再生医療

当教室では、ヒトiPS細胞を効率よく増殖させ、大量の心筋細胞を作製し、さらに特殊な培養液により心筋細胞のみを効率よく選別し、培養上清を用いて移植用細胞の品質を評価し、心筋組織球を作製した後に移植する心臓再生医療に関する研究を行っています (Tohyama, et al. Cell Stem Cell 2013, Tohyama, et al. Cell Metabolism 2016)。最近では、人工心筋組織を作製することで疾患病態解明や創薬研究にも取り組んでおり、今後再生医療と共に発展させていきます(Tani, et al. Biomaterials 2023)。

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