佐野研究グループ

臓器連関のひずみの結果生じる心不全の病態を深く読み解くために、多くの研究室とコラボしながら多彩な研究を行っております。キャピラリー電気泳動-質量分析法による解糖系、TCA回路、アミノ酸代謝、核酸代謝の中間代謝産物の網羅的定量解析、安定同位体標識化合物を用いた代謝経路解析、MALDI-イメージング質量分析技術を用いた代謝産物の2次元的マッピングなどの技術を駆使して、ストレス下における心筋代謝の動的変化とその病態生理学的意義を解明して参りました。圧負荷による左心肥大、糖尿病性(あるいは脂肪毒性)心筋症、肺動脈性肺高血圧などの疾患モデル動物を用いてリピドミクス解析を行い、新規生理活性脂質の探索や心筋細胞膜リン脂質リモデリングの病態生理学的意義の検討も行っております。炎症を切り口として、心筋梗塞後の創傷治癒機構、大動脈解離後や肺動脈性肺高血圧の病態形成における血管リモデリング、腎線維化、内臓脂肪肥満と免疫老化の研究も行っております。救急科との共同研究で、水素ガスが心筋虚血再灌流障害を軽減させ心筋梗塞サイズを縮小すること、心肺停止蘇生後症候群の脳神経学的予後を改善すること、出血性ショックにおける血行動態破綻を抑制すること、5/6腎臓摘出後の血圧上昇、体重減少を抑制する効果を動物実験で証明して参りました。水素ガス治療開発センター(http://www.karc.keio.ac.jp/center/center-55.html) を立ち上げ、院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法の安全性と有効性を検討する多施設共同無作為化比較試験 (http://www.hybrid2.org/) (先進医療B)を実施すると同時に、水素ガスの作用機序を明らかにする基礎研究にも力を注いでおります。
【研究グループに所属している研究者の主な留学先】 遠藤仁 東京大学大学院薬学系研究科衛生化学(新井 洋由教授) 安西淳 Center for Systems Biology and Department of Radiology, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA (Filip K. Swirski教授) 山本恒久 University of Pennsylvania, Cardiovascular Institute (Daniel Kelly教授) 磯部更紗 Stanford University, School of Medicine, Department of Pediatrics, Cardiology(Marlene Rabinovitch教授)

生体は様々な障害に速やかに対応し恒常性を維持する保護機構を内蔵しています。我々はこれまで、心臓自体に内在するこのストレス応答機構に注目し、「代謝」特に脂質代謝の面から継続的に研究を行ってまいりました。心臓は単なる筋肉組織というだけではなく、脂質を中心としたエネルギー代謝、生理活性脂質の産生、細胞膜や脂肪滴・ミトコンドリアの脂質環境の制御といった点で大変特殊化したユニークな臓器です。現在、我々は様々な心疾患の病態生理に脂質がどのように作用し恒常性の破綻に寄与しているのか明らかにすることで、新たな治療戦略の創出につなげることを志しています。また心臓と他臓器との機能連関にも注目し、肺、腎臓、副腎、骨格筋といった臓器にも視野を広げており、多彩な臓器間のコミュニケーションについて、それぞれ連絡する固有分子を明瞭化することで、新たな病態メカニズムの解明を目指しています。

難治性循環器疾患、特に難病指定疾患である肺高血圧症の病態解明や治療法開発に向けて取り組んでいます。患者検体(DNA/RNA/血球/血清/血漿等)を収集して肺高血圧症の国内最大バイオバンクを管理運営しており、次世代シークエンサーを用いたオミクス解析や遺伝子診断体制の構築に取り組んでいます。患者検体での解析を通じて得た新しい知見から、細胞実験や動物実験での基礎研究に繋げて分子病態メカニズムを解明し、早期診断システムの開発や分子病態に即した新規治療薬の開発を目指しています。
【受賞歴】日本循環器学会臨床研究奨励賞臨床研究部門・日本肺高血圧肺循環学会八巻賞・他

心臓は、常に大きなエネルギーが必要であり、それに特化した代謝システムやストレス応答機構を持ち合わせています。私は、マウス心臓におけるプロスタグランジンD2の虚血再灌流傷害への保護効果(Hypertension. 2014 Jan;63(1):80-7.)、心臓の代謝イメージング技術の開発(Sci Rep. 2016 Sep 1;6:32361.)、ミトコンドリア機能、カルシウム動態と連動した小胞体ストレス応答などの研究に従事して参りました。心臓の代謝イメージング技術の開発の際には、心臓において死後、代謝が急激に変化することが大きな問題点でありました。これに対しては、マイクロウェーブによる固定法を用いることで死後の代謝変化を最小限にする方法を開発しました。さらに、炭素13(13C)でラベルした基質を用いて、心筋梗塞モデルのグルコースおよび乳酸のトレースイメージングにも成功しました。虚血の中心部ではグルコースを乳酸に変換するとともに、乳酸を積極的にTCAサイクルで代謝していること、虚血の周辺部位ではグルコースを積極的にTCAサイクルで代謝していることがトレースイメージングにより明らかになりました(図)。現在は、酢(酢酸)の心臓における動態やストレス時の効果、透析膜を用いて中心代謝産物の時間的変化を追跡する技術を開発しております。


様々な医療技術の発達、疫学的な介入により、心血管病による死亡率は近年劇的に改善して参りましたが、死亡原因の中では未だ上位に位置しております。心血管病の原因である動脈硬化の発展やその結果引き起こされる心筋梗塞の発症、及び梗塞後心不全に至る過程において、好中球、単球、マクロファージといった免疫細胞が全身をダイナミックに躍動し、炎症・免疫応答を紡ぎ出し、病態を形成に深く関与しております。私は、”Systemic Inflammatory Network”に主眼をおき、免疫細胞および免疫細胞が発現するサイトカイン、造血・成長因子による細胞間、臓器間連関のひずみが心血管病を構築する機序の解明に従事し、新規心血管病治療方法の発見に結びつけたいと考えております。

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心不全のリスク因子は時代とともに変化しています。かつては動脈硬化を背景とした虚血性心疾患の関与が大きかったですが、現在では肥満や糖尿病による拡張機能障害型の心不全が増加しています。私は飽和脂肪酸が豊富な高脂肪食をマウスへ摂取させると心臓の細胞膜脂肪酸組成の飽和脂肪酸比率が上昇し(=膜の飽和脂肪酸化)、拡張機能障害を引き起こすことを発見しました(PLoS One. 2018)。また飽和脂肪酸による心筋細胞膜の飽和脂肪酸化が小胞体ストレスを誘導すること、小胞体ストレスの中でもIRE1非依存的XBP1経路が心筋細胞死を起こすことを明らかにしました(Biochem Biophys Res Commun. 2020)。 次に我々は飽和脂肪酸による心筋細胞膜の飽和脂肪酸化に対する防御機構に着目しました。抗老化遺伝子として知られるSirt1(Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2016)が、飽和脂肪酸を不飽和化する酵素SCD1の発現を介して、細胞膜脂肪酸組成の恒常性の維持にも重要な役割を果たしていることを明らかにしました(J Mol Cell Cardiol. 2019)。また飽和脂肪酸によって引き起こされた心筋リモデリングや拡張機能低下はSirt1活性化や食餌中の脂肪酸を飽和脂肪酸から単価不飽和脂肪酸(オレイン酸)に変更することによって改善することができることも確認しました (Arch Med Sci. 2021)。本研究により拡張障害型心不全へ対する新たな治療アプローチとしてSirt1活性化や不飽和脂肪酸摂取といった方法を提唱できればと考えております。
【受賞歴】第35回日本循環器学会Young Investigator’s Award (Basic Research部門優秀賞)、AHA2018 Melvin L. Marcus Young Investigator’s Award (Basic Research部門優秀賞)、2019年度日本抗加齢医学会研究奨励賞


肺高血圧症は、肺動脈圧が上昇し、心不全をきたす予後不良な希少疾患です。家族性では約70%、孤発例では20-30%の患者さんにBMPR2遺伝子異常が認められ、BMPR2シグナルは病態進展に重要な役割を担っていると考えられています。また、血管拡張薬の進歩により予後は改善しておりますが、この10年間においては、BMPR2遺伝子異常を有する患者さんでは、BMPR2異常のない患者さんと比較してプロスタサイクリン持続投与開始からの予後が良いことを報告しました (Am J Respir Crit Care Med. 2016;193(11):1310-4.)。これは、レトロスペクティブの解析による報告ですが、遺伝子変異によって治療薬への反応性が異なる、という新しい知見です。また、血管拡張薬は非常に有効ですが、不応例も存在し、病態のメカニズムの解明とそれをターゲットとした治療薬の開発が望まれています。病態の進展には、細胞増殖、代謝の変化、アポトーシス抵抗性、遺伝子変異など、がんと多くの共通点が指摘されています。私は、がん細胞の生存や増殖のメカニズムに着目して肺高血圧症の病態解明を行っており、血管拡張薬とは異なる機序の新たな治療薬開発にむけて研究に取り組んでおります。

最近の研究により、肥満はある種のガンや自己免疫疾患の危険因子になることが明らかになってきました(図1)。肥満により内臓脂肪が蓄積すると様々な代謝異常が出現し、メタボリック症候群と呼ばれています。内臓脂肪の慢性炎症は糖尿病等の代謝異常を引き起こす原因になり、今回我々は、慢性炎症の原因に免疫細胞、とりわけ、Tリンパ球の老化が関与していることを発見しました(図)。老化したTリンパ球は、本来の免疫の司令塔としての働きが低下しており、高齢者では、感染の重症化や発がんリスク及び自己免疫応答の増大を引き起こします。それだけでなく、老化Tリンパ球からは、正常なTリンパ球からは分泌されない炎症を誘導する物質が大量に分泌され、それが高齢者において代謝性疾患を引き起こします。驚いたことに、マウスに高カロリー食を食べさせて太らせると、若いうちから、内臓脂肪の中で、「Tリンパ球の老化」が急速に進行することが分かりました。この老化したTリンパ球は、炎症を誘導する物質を大量に分泌して、他の免疫細胞を過剰に活性化しつづけることによって、内臓脂肪の慢性炎症を引き起こし、糖尿病の発症の原因となっていることを証明しました。本研究の結果から、内臓脂肪蓄積型肥満は、免疫細胞の老化を引き起こし、代謝性疾患の罹患率を増加させるのみならず、感染に対する抵抗力の低下、癌のリスクの増大をも引き起こしている可能性が示唆されます。


分子状水素(以下、水素)がフリーラジカルの消去を通じて虚血再灌流障害を抑制することが報告されてから、我々は救急領域における水素ガス吸入療法の有用性を基礎研究で証明 (Biochem Biophys Res Commun 2008, J Am Heart Assoc 2012, Circulation 2014) し、その臨床応用(Circ J 2016, Circ J 2017) を試みてきました。水素は抗酸化ストレス、抗炎症効果を示し様々な傷病・病態の予防と治療に有用であることが報告されているものの、その作用機序は明らかではありません。私は動物モデル(出血性ショック、保存期慢性腎不全)を用いて水素ガスの作用機序の解明に取り組んでおります。また同時に水素ガス吸入療法の有効性を心原性の院外心停止後症候群患者で検証する多施設二重盲検無作為割付臨床試験(UMIN000019820)を先進医療Bの承認を得て開始しました。臨床での有効性の検証と基礎研究を通じた作用機構の解明とを並行して進めております。

脂質は細胞膜の構成、エネルギー源、メディエーターといった実に多様な機能を持ち、複雑かつ精巧に我々の身体を制御しています。近年になり、脂質の量的変動だけでなく”質”に着目した研究が注目され始め、脂質が循環器疾患の病態形成に重要な役割を果たすこと、組織の線維化を制御して病態をコントロールする機能性脂質が存在することが明らかになってきました。私は肺高血圧症という予後不良の難病における病的肺組織に着目し、病態形成に寄与する機能性脂質の探索、作用機序の解明を目的に研究を進めています。従来の治療薬はすべて血管拡張に特化した薬剤ですが、血管リモデリングを抑制し肺高血圧を治癒させうる治療ターゲットの創出を目指しています。また、肺高血圧の主要な死因は右心不全ですが、不全心ではダイナミックな脂質組成の変化が起こっています。その変化の意義や責任分子の同定、代謝学的介入による効果も併せて検証を進めています。

ミトコンドリアは、エネルギーを作り出す生体に必須の細胞小器官です。絶えず拍動し続ける心臓は、ミトコンドリアを非常に多く含む臓器であるため、ミトコンドリアの働きを修飾する分子が心臓の機能自体に大きく影響することが知られています。 一方で、ミトコンドリアは融合と分裂といったダイナミックな変化を繰り返しており、ストレスに応じてそのバランスを変えていることがここ最近の研究で明らかにされ、注目を集めています。これまで原因不明と考えられていた筋萎縮性側索硬化症などに代表される難病の発症に、ミトコンドリアの形態制御バランスや小胞体との連携の崩壊が関与している可能性が報告されており(Nature. 495: 389-93; 2013)、心疾患における報告も数多く認めます(Cell Metab. 21: 273-85; 2015)。 我々は、ミトコンドリアのダイナミクスを制御する鍵分子の一つに注目し、東京薬科大学分子生化学教室 柳先生と共同で本分子の様々な病態における役割について研究を行っています。将来、本分子の制御によって心血管疾患への治療応用につなげることを目的としています。

カテーテル治療や薬剤の進歩により、心筋梗塞や心不全の予後は格段に良くなりました。一方で、循環器疾患の中でも10代や20代で命を奪われる疾患があり、その一つが肺高血圧症です。予後不良な疾患でありながら、肺高血圧症が発症する根本的な原因やメカニズムの多くは未だ分かっていません。私は慶應義塾大学循環器内科が保有する国内最大級のサンプルバンク、心エコー図やカテーテル検査データ、肺高血圧症モデル動物、血管内皮細胞の培養などを通じて、肺高血圧症の病態生理を解明すべく多面的に研究をしています。 キーワード:特発性肺高血圧症、疾患発症遺伝子変異、CRISPR-Cas9、心エコー図における右室機能評価

ヒトの心臓は再生しないため, 一度障害されてしまうと機能低下が永続します。このため, 心筋梗塞の治療においては, その障害範囲を最小限にすることが重要であります。心筋の障害は虚血を解除した後も進むことが知られており、免疫系の関与が重要と考えられています。 私は, 心筋梗塞急性期に浸潤するマクロファージに着目し研究を開始しました。 マクロファージには大きく分けて組織障害性のM1マクロファージと組織修復を担うM2マクロファージがあります。心筋梗塞では初期にまずM1が浸潤し, その後M2が増えて参ります (下図)。マウスにおいて早期にM2を増やすような介入を行うことで心筋梗塞後の予後を改善できることが報告されています。私は、心筋梗塞後に心臓に浸潤してくるマクロファージのmiRNAおよびmRNA発現の時系列データからコンピュータを用いて心筋梗塞後のマクロファージのM2への分化を制御する分子の網羅的スクリーニングを行ないました。その結果、M2への分化を阻害する新規miRNAを見出し、その下流の分子パスウェイを明らかにしました。現在, この分子に対する介入により、実際に心筋梗塞を改善することができるか検証を行なっております。

それ以外にも、血栓症において重要な血流, 血小板, 凝固系, 線溶系を錬成しトロンビン活性などの各種パラメータを変更した時に血栓を予測できるシミュレータを作成したり、血栓症の初期の血小板接着に重要なGP1bとVWFの結合を分子動力学シミュレーションにより計算, GP1bにアミノ酸変異が入った時の結合力変化を予測する研究も行っております。

心不全の治療においては、腎臓に作用する薬剤が多数用いられており、その一部は生命予後の改善や心血管イベントの抑制効果が臨床的に示されています。我々は心不全や腎不全のモデル動物を用いて、各種臓器の代謝物質のイメージングを行なうことで詳細な代謝の変化の把握に取り組んでおります。特に心臓と腎臓の臓器連関に着目し、循環器内科領域において用いられる各種薬剤が、腎臓の局所においてどのような代謝の変化を引き起こしているかを解析することで、心腎連関の病態解明を試みております。

アテローム性動脈硬化の進展、それに続発する心筋梗塞後の創傷治癒の過程には、主に白血球を中心とした炎症・免疫応答が深く関与することが昔から知られています。しかしながら、炎症を標的とした治療はマウスなどの動物実験においては効果があっても、実臨床では応用が難しいことが課題となっていました。近年、心筋梗塞発症後、高リスクの患者に対する抗Interleukin-1β抗体の投与が、患者の予後を改善することが大規模臨床試験において発表され(Ridker et al. NEJM, 2017)、心血管疾患における炎症が再び脚光を浴びています。私は2018年度より本格的に基礎研究を始めるにあたり、実臨床へのトランスレーションを常に意識し、炎症・免疫応答の制御に基づいた、循環器疾患に対する新しい治療法の開発を目指して、研究に邁進していきたいと考えております。
iPS細胞を用いた難治性疾患治療方法の開発

いわゆる循環器難病は数多く知られ、それらの多くは遺伝的要因によって発症することが知られています。その中でも特に遺伝性QT延長症候群などの遺伝性不整脈疾患、肥大型心筋症や拡張型心筋症などの心筋症、あるいは原発性肺高血圧症などは比較的患者さんの数も多く、よく知られています。これらの疾患においては、原因となる遺伝子は特定され、それらが直接的に病気の原因となることが過去の研究により示されてきました。しかしながら、実際の患者さんにおける病気の重症度は様々であり、薬に対する反応性なども個人によって異なり、わからないことが多数あります。さらには、患者さんの家族などにおいて、同じ遺伝子変異を持っていても病気を発症しない人も多数おります。これらのことより、結局は病気がなぜ起こるかが、はっきりとはわかっていないと言わざるをえません。このように病気がなぜ起こるかが分からないので、根本的な治療方法もありません。我々は、これらの病気の原因が分からない、治療方法が無い難病に対して、iPS細胞を用いて治療法能を開発しようという試みをしております。

患者さんから作製したiPS細胞は患者さんの遺伝情報を全て受け継いでおります。すなわち上図に示すように、患者さんから体細胞(末梢血)をいただき、iPS細胞を作成し、iPS細胞から心筋細胞や血管内皮細胞を作成すると、患者さんの体で起こっていることが培養皿上で再現されます。例えば心筋症の患者さんからiPS細胞を作り心筋細胞を作ると、患者さんの心臓で起こっている問題が、培養皿上で再現され、その問題を解決すべくドラッグスクリーニングが行えるようになります。将来は、このような工程で開発された薬剤が患者さんに還元されるよう研究を行っております。