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クオリティ・アウトカム研究 | 不整脈 | 心臓カテーテル

心臓カテーテル

TAVI後血栓弁の評価

2002年にフランスで開始されたTAVIですが、現在全世界的に実施件数が増えております。低リスク患者においても適応が広がっており、本邦では外科手術リスクに関わらず80歳以上の患者はTAVRを第一選択として検討しうるとしています。
そんなTAVIにも課題はあり、TAVI後の造影CT検査で認められるHALT(Hypo-attenuated leaflet thickening)が挙げられます。このHALTは血栓と考えられていますが、このHALTが予後や弁機能にどのような影響を与えるかというのは明確ではなく様々な報告があります。

当院単施設でのデータとしては、抗血栓薬を追加しない保存的治療にもかかわらず、HALTの存在がTAVI後5年まで将来の有害な心血管イベントと関連せず、弁機能も十分に保たれていることを報告しております(J Am Heart Assoc. 2022 Dec 6;11(23): e026334.)。
TAVIを受ける高齢者の出血リスクの高いコホートを考えると、抗血栓薬の追加を減らすか、または追加しない保存的管理が、HALTの治療における既定の戦略である可能性があることが示唆されました。

従来単施設研究では日常臨床に即した詳しいデータ収集は可能であるものの、症例数が少なく真実を得るための解析には足らない問題点がありました。しかし当院ではTAVIを中心に日本全国から症例が集まる非常に豊富な症例数を有する施設でもあり、長期的なフォローを行っていることで単施設の研究でもこのように貴重なデータを世界へ発信しております。

NAPT trial (Non-antithrombotic Therapy After Transcatheter Aortic Valve Implantation Trial)

(TAVIによる人工弁留置後の抗血小板剤内服に関する臨床研究『経カテーテル大動脈弁留置術施行患者における術後アスピリン単独投与に比較した場合の抗血栓薬非投与の非劣性を検証する無作為化比較試験)

当チーム責任者の林田医師はTAVIやMitraClipといったSHD関連の多施設レジストリーグループとしてのOCEAN-SHD研究会の代表を務めており、当チームのメンバーも本研究会に参加し、日本から世界の患者さんのためのデータを発信できるよう日々研鑽を積んでおります。そして現在このOCEAN-SHD研究会で当院を中心にして無作為化比較試験を行っております。

TAVI施行後の抗血栓療法に関しては3ヶ月〜6ヶ月間のDAPT、その後の永続的なSAPTが推奨されていますが、十分な根拠は存在しません。
術後3ヶ月間のDAPT + 永続的なSAPTと、術後すぐにDAPTを経ずに SAPTを開始した抗血栓薬レジメンを比較し、塞栓性イベントと出血性イベントを合算した複合エンドポイントにおいて、SAPT群のDAPT 群に対する非劣性が証明されました(N Engl J Med. 2020 Oct 8;383(15):1447-1457. )。
TAVI施行後のSAPTの有効性および安全性を検証した研究は存在せず、 SAPTの投与が本当に必要であるかに関して明確な解答は得られておらず、実際に、TAVI施行患者は高出血リスクであることが多く、アスピリン単剤であったとしても、出血性合併症の発症が懸念されます。
OCEAN-SHD研究会からの報告で、TAVI後の抗血栓薬としてSAPT/DAPTと比較して、抗血栓薬をなしでフォローした群はNACEのリスク上昇とは関連せず、出血イベントのリスクを低下させる可能性がありました。こうした抗血栓薬なし(NAPT)の戦略は、一部のTAVI患者において、SAPT/DAPTに代わる選択肢として受け入れられる可能性が考えられました (JACC Cardiovasc Interv. 2023 Jan 9;16(1):79-91.)。

そして現在当院を中心に日本全国のTAVI施行施設(OCEAN参加施設)でTAVIを受けた患者において、術後にアスピリン単独投与がなされた群(アスピリン群)と、抗血栓薬投与がされなかった群(非抗血栓薬群)とに無作為化を行い、TAVI施行後の主要評価項目を比較することを目的としたNAPT trialという無作為化比較試験を行っております。
TAVI施行後の抗血栓療法の確立、さらには弁膜症の診療ガイドラインの改訂に資するデータが得られるものと期待されます。

冠動脈インターベンションPCIの診療および予後調査のためのレジストリ研究 (KiCS PCIレジストリ)

冠動脈インターベンションPCIを慶應義塾大学病院および関連病院で受けた患者の背景、院内予後、そして長期予後を追跡し登録したレジストリ研究です。協力施設、慶應義塾大学関連施設との協力関係、臨床コーディネーターのサポートがあって発展してきました。データベースを活用して、多数の論文を報告しています (Am J Cardiol. 2023; 206:151-160., Sci Rep. 2022;12: 749., J Am Heart Assoc. 2021;10:e020047.)。これらの結果を実際の臨床でのPCIの方針決定や管理に活用することで還元しております。

  KiCS PCI 臨床統計グループ

慶應心臓カテーテル班でのトレーニングをご希望される先生へ

慶應心臓カテーテル班でのトレーニングをご希望される先生へ

慶應心臓カテーテル班では、冠動脈疾患インターベンション、ストラクチャーハートインターベンションに興味のある熱い若い医師を募集しています。当院では、PCI・TAVI・Mitra Clip・三尖弁治療・左心耳閉鎖・ASD/PFO closure・BPA・PTSMAと幅広い治療を経験・研修することできます。当院で研修後に海外留学する先生、関連病院でTAVIのメインオペレーターとして活躍する先生がいて、キャリアパスが広がります。慶應心臓カテーテル班に興味がある方は、是非一度若い先生が主役を担って躍動する姿を見に来てください。連絡お待ちしております!

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