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クオリティ・アウトカム研究 | 不整脈 | 心臓カテーテル

クオリティ・アウトカム研究

担当医師:香坂 俊、白石 泰之

グループ紹介

過去数十年間にわたり、循環器内科の分野では、冠動脈疾患、不整脈、心不全の領域において著しい進歩が見られました。この進展とともに、治療選択肢が増えることにより、最適な医療を適切な状況で提供することが一層重要になっています。これは、医療の質(クオリティ)と全体的な治療結果(アウトカム)の向上が、循環器内科領域における大きな課題となっていることを意味しています。2008年以降、我々は医療者主導で、この分野における必要なシステムの構築に取り組んできました。

また、現場に貢献できる研究を目指して、当科では2012年より臨床研究を中心に据えた大学院プログラム(医療科学系大学院)を設置しています。このプログラムは、内科研修を終えた卒後6-8年程度の循環器系の医師が、さらなるステップアップを目指すためのコースと位置づけています。このプログラムでは実臨床を経て浮かんだ疑問を基に研究計画を立案し、得られた知見を開かれた世界に向けて共有していくということを目標としております。

我々は、こうした知識共有への建設的な姿勢は、循環器のプロフェッショナルとして欠かせざるべきものであると考えています。

研究紹介

観察研究

KiCS-PCIレジストリ

当研究室では2008年より慶應義塾大学病院および関連15施設にて施行された冠動脈インターベンション(PCI)症例を連続登録しており、心臓カテーテル班と共同で医療の質など様々な視点からの検証を行っています。これまで合併症予防に向けての取り組み、医療の質項目に関する批判的吟味、日米共同解析などの作業を行ってきました。

KiCS-AFレジストリ

当研究室では2012年より慶應義塾大学病院および関東圏10施設で心房細動症例の登録を行い、不整脈班と共同で患者さんのQuality-of-Life(生活の質)にも踏み込んだ研究を行っています。医療者側からの目線ではなく、患者側の要望に寄り添うエビデンスを構築し、診療の質をより患者目線で向上していくことを目指しています。

WET-HFレジストリ

2006年より慶應義塾大学病院で急性心不全症例の連続登録を開始し、現在は関東圏12施設が加盟しています。心不全患者さんの高齢化に伴って、心臓因子以外にも栄養やフレイルの影響、また死因の変化(心臓死・非心臓死)について縦断的な視点を含めて検証しています。統計的なリスクモデルの検証や開発、画像などの非構造化データの応用も試みています。

介入研究

LAQUA-HF試験

新規の心不全薬であるARNIとSGLT2阻害薬、および作用時間の異なる二つの利尿薬(フロセミド、トラセミド)の効果をそれぞれ検証する医師主導の2x2ファクトリアルランダム化比較試験です。心不全の薬物治療の選択肢が増える中で、薬剤間での優越性を検証する世界的にも稀なタイプのデザインとなっています(UMIN試験番号:UMIN000045229)。

EXERCISE-HF試験

外来での心臓リハビリテーション(運動療法)ができないような心不全患者さんに対する、フィジカルトレーニング支援・教育プログラム(SaMD[プログラム医療機器])の有効性と安全性を評価するための医師主導治験(多施設共同探索的ランダム化比較試験)です(https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2023/10/6/28-152983/)。

ePRO試験

心血管疾患の患者さんに対して、電磁式の疾患特異的な質問紙票(electric patient-reported outcome[ePRO])を回答いただき、患者側の情報を医師に可視化することで、診療の質や患者満足度を改善できるかを評価する医師主導のランダム化比較試験です(UMIN試験番号:UMIN000049251)。

医療機器開発

心肺運動負荷検査(CPX)は、密着型マスクをする検査であり、煩雑かつ専門性の高い検査です。心不全の運動療法を行うためには、その安全域(嫌気性代謝閾値AT)を決定するために、心肺運動負荷検査(CPX)という検査が必要です。しかし、CPXは密着型マスクを装着する煩雑かつ専門性の高い検査であり、我々は検査をサポートするための医療機器開発を進めています。現在、心電図のみを用いてATを決定することや、ベンチャー企業と共同開発を行った新しいバイオセンサ(汗乳酸センサ)を用いてATを推定することができるようになりました。

2022年度に当院において汗乳酸センサの医師主導治験を行い、現在、医療機器申請を進めています(https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2023/2/24/28-135585/)。また、心不全の増悪を非侵襲的に診断する医療機器開発なども連携企業と共同開発を進めています。このような医療機器開発を通して、現在の循環器診療に不足している部分を補ったり、広く社会に普及させたりと社会実装に向けた取組を積極的に進めています。

慶應臨床研究班でのトレーニングをご希望される先生へ

慶應臨床研究班でのトレーニングをご希望される先生へ

当科では、循環器内科医としてのキャリアパスを形成する上で、冠疾患、心不全、不整脈など各領域における臨床的サブスペシャリティの習得に努めると同時に、臨床研究における専門知識を有する医師の養成にも積極的に取り組んでいます。本研究チームでは、これらの分野における未解決の問題に対してどのようにアプローチするかを学び、Clinician-Scientistとしてのキャリアを通じて貢献できる基盤を築くことを目指しています。循環器内科の分野で専門性を高めつつ、臨床研究を通じたキャリア構築に興味がある方や、国内での学びを深めたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。質問や見学についても、随時受け付けております。

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