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二次性心筋症

心サルコイドーシス、心アミロイドーシス、ファブリー病

心サルコイドーシス

サルコイドーシスは全身の臓器に原因不明の炎症が起こる疾患で、国の指定難病の1つになります。心サルコイドーシスは、炎症性の細胞(サルコイド病巣またはサルコイド結節)が心臓の中に形成される状態を指します。症状は多様で、胸痛、息切れ、不整脈、心拡大、心不全の兆候が含まれます。重症の場合、突然死のリスクも考えられます。予後は病気の進行度や治療の効果に依存し、早期に診断され、適切な治療を受けた場合には比較的安定した経過が期待できます(  サルコイドーシス)。

心サルコイドーシスの診断には、採血、心電図や心エコーなどの一般的な検査に加えて、MRIや核医学検査、さらに心臓カテーテル検査や心筋生検が必要となることがあります。最近では、心臓PETが心サルコイドーシスの早期診断に有用であることが知られ、当院でも積極的に実施しています。

心サルコイドーシスの治療は、炎症を抑える薬物療法が一般的で、ステロイド薬や免疫抑制剤が使用されます。心臓の機能低下が始まっている場合には、心不全に使用される薬も併用されることがあります。心サルコイドーシスの患者様は専門的な心臓専門医の管理下で継続的な治療を受ける必要があります。

(上段:心エコー所見)心室中隔の菲薄化(黄色矢印)
(下段左:病理所見)炎症細胞浸潤と非乾酪性肉芽腫(ラングハンス型巨細胞)
(下段右:肉眼所見)後壁(PW)から心室中隔(IVS)、前壁(AW)、右心室(RV)に広範な繊維化を認める

心アミロイドーシス

心アミロイドーシスは、心臓にアミロイドと呼ばれる異常なたんぱく質の線維が沈着し、心不全、心肥大、伝導障害、不整脈(心房細動)などを来す疾患です。最近、拡張障害による心不全の約1割が、この心アミロイドーシスであることが分かってきました(  心アミロイドーシス)。当院では、心エコー、アイソトープ検査、カテーテルによる心筋生検などを行ない、本症の正確かつ迅速な診断・治療を実践しています。また厚労省アミロイドーシス研究班の分担研究施設として、自施設で病理診断を確定できる体制が整っています。

当院はトランスサイレチン心アミロイドーシスに対するタファミジス処方導入の認定施設となります。様々な施設から患者様のご相談・ご紹介を頂いており、本症における国内有数の診療経験を有する診療科となっております。

心アミロイドーシス

当院の心アミロイドーシス診療

ファブリー病

ファブリー病は、細胞内のリソゾーム(ライソゾーム)の酵素の欠損や低下により、様々な症状が引き起こされる「代謝異常症」の一つです。リソゾームの酵素(α-ガラクトシダーゼ)がなくなると、細胞に必要のない糖脂質(グロボトリアオシルセラミド(Gb-3))が蓄積するため、手足に激しい痛みを感じ、皮膚や尿の異常、また下痢や脳梗塞、心臓の病気など、全身に症状が現れます。病気が悪くなると、腎臓、心臓、脳などに臓器障害を来し、突然死することもあります(  ファブリー(Fabry)病)。

2018年より、慶應義塾大学病院ではファブリー病/ライソゾーム病外来を立ち上げ、主に成人に特化したファブリー病/ライソゾーム病の連携拠点病院として尽力しております(図1、  ファブリー病/ライソゾーム病外来)。ファブリー病を含めたライソゾーム病は全身性疾患のため、強固な他科連携が必須と考えており、慶應義塾大学病院での他診療科との密な連携を進めております(図2)。

2020年より厚生労働科学研究難治性疾患政策研究事業の研究班に所属し、在宅酵素補充療法マニュアルの作成を皮切りに、精力的にファブリー病/ライソゾーム病のために臨床、基礎・臨床研究を進めております。

(図1)慶應義塾大学病院におけるファブリー病・ライソゾーム病外来

(図2)慶應義塾大学病院における各科における連携システム

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